ハードコア・テクノの輝ける金字塔。
全てはこのアルバムから始まった!
ハードコア・テクノのマスター・ピースを一枚、紹介しよう。
「XL RECORDINGS THE SECOND CHAPTER」。
サブタイトルは「HARDCORE EUROPEAN DANCE MUSIC」、である。
今や一時期のユーロ・ビートをも凌ぐ程の
一大ムーブメントとなっている新種のダンス・ミュージックとして、
ハードコア・テクノは今、最も注目されている音楽ジャンルと言える。
この現象はハードコア・テクノ発祥の地、
ベルギーやイタリア、オランダ等のヨーロッパの国々はもとより、
レイヴ・パーティーでハードコア・テクノを盛り上げたイギリス、
そしてこの日本でもジュリアナTOKYOの圧倒的な集客力と、
ハードコア・テクノの魅力を早くから理解し、プレイし続け、
毎夜何千人もの人々を狂わせているD.J.ジョン・ロビンソンらの力によって、
L.A.スタイル、T99、2アンリミテッドら、
ハードコア・テクノのアルバムが世界一売れる国となったのである。
そして今やアメリカでも白人を中心としたクラバー達の間で
ハードコア・テクノが流行りつつ有り、
メジャー、マイナー共テクノのコンピレーションが数多くリリースされている、
といった具合に正に全世界的に猛威を奮っているという現状なのである。
さて、そんな中でそもそも何かキッカケで始まったのかというと、
そんな質問が有る時必ず、真っ先に紹介しているのがこのアルバム、
そう、つまりあなたか今手にしている
「XL RECORDINGS THE SECOND CHAPTER」なのである。
昨年9月にリリースされて以来
現在まで今だに、売れ続けているというモンスターアルバムで、
この日本盤のリリースにより、
これまで以上に多くの人々に楽しんでもらう事が出来る事と、確信している。
このXLレコーディングスのオムニバスのシリーズは、
90年の「THE FIRST CHAPTER」、
91年のこの「THE SECOND CHAPTER」、
同91年の「THE THIRD CHAPTER」と、
これまで3枚のシリーズか出ているので、
これからハードコア・テクノを窮めてみようという方は是非、
他の2枚にもトライしてみていただきたい。
尚、今年中には第4弾が、
そしてエイベックス・トラックスからは何やら又々凄い企画が有るらしい。
一体ハードコア・テクノは、これからどんな展開を見せるのだろう?
全くもって目の離せない状況である。
この「THE SECOND CHAPTER」、一体どこがそんなに凄いのだろう。
先ずは曲目と照らし合せて、その魅力を探っていってみよう。
●T99
イントロが始まって数秒後に飛び出すヒステリックなサンプルド・ボイスのリフ。
最早ハードコア・テクノのテーマと言ってもいいだろう。
この気違いじみた曲目当てにこのアルバムを探し回る人も多かった。
XLでは19番目のシングルとしてカットされた。
●CHANNEL X
デトロイト・テクノを白人流に解釈するとこうなる。
リズムに限って言えば、デトロイト・テクノそのものである。
●HOLY NOISE
ハードコア・テクノのもう一つのマスター・ピース、
L.A.スタイルの"JAMES BROWN IS DEAD"のアンサー・ソング、
"JAMES BROWN IS STILL A凵VE"の大ヒット曲で知られる彼らは、
同曲収録のアルバムもリリースしている。
これまた相当アブストラクト・クレイジーだ。
●JOHN + JULIE
今後新曲も続々とリリースされる予定の有る彼ら、大ブレイクも時間の問題だろう。
ブードゥーの呪いにも似た、何とも不気味な曲。XL23番目のシングル。
●SET UP SYSTEM、EXTERNAL GROUP、
「SET UP SYSTEM」は、XL22番目のシングル、
このフレーズもハードコア・テクノ定番中の定番である。
「EXTERNAL GROUP」を聞いて、
シカゴ・ハウスのタイリーを思い浮かべたあなたは、かなりのハウス通。
シカゴ・ハウスからUK産ブリープ物へと続く歴史の様な物が見えてくハズだ。
しかし、良く勉強しているヤツらだ。
●CUBIC 22
この曲も、このアルバムの目玉のーつ。
これ又ハードコア・テクノのテーマ曲である。
途中で狂人が見せる極めてまともな顔の様な美しいストリングと
センチメンタルなメロディーラインも、よけいにこの曲の異常さを際立たせている。
それにしてもこの曲の“PARTY TIME!”には
いつも体を突き動かされる。XL20番目のシングル。
●DIGITAL BOY、FREQUENCY
2曲ともダンスフロアでの評判もすこぶる良い曲。
特に「DIGITAL BOY」のアッパーさはどうだ!
●THE PRODIGY
XLがこの秋から最もプッシュするのが、この「PRODIGY」。
何というか、もしサイバー・パンクの子供向けアニメみたいな物が有るとしたら、
こんなBGMになるのではないだろうか。
ループしたブレイクビーツの使用法に、XLのその後の流れが見て取れる。
何とも可愛くて変わっている曲だ。XL21番目のシングル。
●INCUBUS
これも「PRODIGY」タイプのゲーム・ミュージック的な曲。
子供の頭の中の音である。
●PRAGAKHAN
一時期ブリープ・ハウスとして紹介された音の流れを汲む正に"RAVE SOUND"である。
この曲でパーティーはクライマックスへと続く。
以上でこの「XL RECORDINGS THE SECOND CHAPTER」は幕を閉じる。
いかがだろうか?
この爆発的人気を得ている新しいダンス・ミュージックの魅力に
十分に満足していただけただろうか。
とはいえ、スタイルの移り変わりの早いこの手のサウンドは、
早くも新しい展開を見せている。
このシリーズをチェックし終わっても
まだまだ楽しんでみるべきポイントも数多く残っているのだ。
安心してはいられない。僕も皆さんといっしょに精進して行きたいと思っている。
又、このハードコア・テクノが生まれた背景等については、
このエイペックス・トラックスの「SUPER CLUB GROOVIN' VOL.7」で触れているので
興味の有る方はそちらも読んでみたらいかがだろう。
(佐藤 研)
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